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■ 果物摂取で自然にダイエット


      
 果物摂取とダイエットについての研究を紹介します。アメリカで行われた疫学研究Cancer Prevention Study U(CSFII)のデータを用いたUSDAの調査によると、肥満の男性、女性は、ともに果物の摂取量が少ないことが分かりました(文献1)。また、肥満の男性は、BMI値が低い男性に比べて野菜とじゃがいもの摂取量が少ないことも明かになりましたが、女性ではこうした関係は見いだされませんでした。そのため、著者らは、果物の摂取量が体重と密接に関係していると述べています。

 アメリカで行われた大腸ガン予防のためのヒト介入試験から、果物と野菜、食物繊維の摂取を増やし、脂肪の摂取を減らす食事指導を受けた人は受けなかった人と比べて体重が有意に減少したことが分かりました(文献2)。また、心筋梗塞の患者に同様の食生活指導を行った結果、1年後に体重が7.1kgとかなり減少しました(文献3)。そして、主となる食事の前に果物と野菜を摂取した人の血液中の中性脂肪は、介入試験前と比べて6.9%減少するなど血中脂質レベルが大きく改善されました(文献4)

 この一連のヒト介入試験の結果は、果物と野菜の摂取を増やし、脂肪の摂取を減らすように食生活指導を行えば、ダイエットについて明確なアドバイスをしなくても自然に体重が減少することを示しています。

 さらに、最近報告された南カリフォルニア大学などの研究グループが行った研究によれば、標準体重の人は太った人より果物の摂取量が多いことが分かりました(文献5)。太りすぎ又は肥満である52人と標準体重の52人を対象に60項目の食物頻度アンケート調査とX線を用いた体脂肪の測定が行われました。

 その結果、太りすぎ又は肥満の人は標準体重の人と比べて総脂肪、飽和脂肪、コレステロールの摂取量が多く、炭水化物、複合糖質、食物繊維の摂取量が少ないことが分かりました。そして、果物の 1日あたりの摂取量が多いと統計的に有意に体脂肪が少ないことが明らかになりました。太り過ぎ又は肥満の人の果物の摂取量は1日当たり0.9サービングであったのに対し、標準体重の人の果物の摂取量は1.6サービングと大きな差がありました。一方、パン、乳製品、野菜などでは両者に摂取量の違いはありませんでした。以上のことから、肥満予防には果物の摂取が重要な役割を果たしていると研究者らは述べています。

 こうした研究は、グラム当たりのカロリーが低く、体積の大きい果物を食生活で上手に利用すると自然にダイエット出来ることを示しています。さらに、食事の30分くらい前に果物を食べるとダイエット効果が高まると期待されます。

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 ■ 食前の果物:ダイエットの新しい習慣
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1) Lin, B.H. et al.: Higher fruit consumption linked with lower body mass index. Food Rev. 25: 28-32. (2002)

2) Lanza, E. et al.: Implementation of a 4-y, high-fiber, high-fruit-and-vegetable, low-fat dietary intervention: results of dietary changes in the Polyp Prevention Trial. Am. J. Clin. Nutr. 74: 387-401. (2001)

3) Singh, R. B. et al.: Randomised controlled trial of cardioprotective diet in patients with recent acute myocardial infarction: results of a one year follow up. Br. Med. J. 304: 1015-1019. (1992)

4) Singh, R. B. et al.: Effect of fat-modified and fruit- and vegetable-enriched diets on blood lipids in the Indian Diet Heart Study. Am. J. Cardiol. 70: 869-874. (1992)

5) Davis, J. N. et al.: Normal-weight adults consume more fiber and fruit than their age- and height-matched overweight/obese counterparts. J. Am. Diet. Assoc. 106: 833-840. (2006)



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