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果物など植物性食品を中心とした食事に切り替えてダイエットに挑戦してみませんか。果物など植物性食品を多く食べている人には心臓病、糖尿病、高血圧の患者が少ないことが知られています。
肥満や太り過ぎ解消を目的に単純にカロリーを下げると空腹感に悩まされ、なかなかうまくいかないことが多いようですが、果物など植物性食品を増やして楽しみながら食べると空腹感を感じずにダイエットができます。
例えば、スウェーデンに住む女性55,459人を対象に行われた疫学調査では、普通に食べている女性では肥満か太り過ぎの人の割合は40%でしたが、果物など植物性食品を主に食べている女性では25-29%でした(文献1)。このことは、動物性食品を減らして果物など植物性食品を多く摂取するとダイエットに効果があることを示しています。
しかし、炭水化物を沢山食べると太ると誤解している人がいます。炭水化物を制限すると脂質の分解が盛んになり体脂肪が減るとし、ダイエットには、肉中心の献立が良いとする説があります。ところが、低炭水化物ダイエットに対する問題点が科学的に明らかになりました。
低炭水化物ダイエットと心臓病との関係を調査したイギリス・オックスフォード大学のケイラン・クラーク教授らのグループが、核磁気共鳴装置で19人のボランティアをモニターしたところ、低炭水化物食を2週間摂取しただけで心臓の貯蔵エネルギーが平均で16%抑制されることが分かりました(文献2)。その後2週間、正常な食事にすると心臓の貯蔵エネルギーは元に戻りました。教授らは、低炭水化物の食事は心臓機能に悪い影響があると述べています。
一方、アメリカで低脂肪、高炭水化物食と体重の変化について7年以上にわたって追跡調査が行われました(文献3)。48,835人の閉経後の女性を対象に調査した結果、低脂肪、高炭水化物食についての栄養指導を受けた人たちは、最初の1年で2.2kg体重が減り、その後穏やかに減少していきました。特に、脂肪の摂取が少ない女性で体重が顕著に減少しました。また、果物や野菜の摂取量の多い女性でも同様な傾向にありました。この研究は、低脂肪、高炭水化物の食事では太らないことを示しています。
アメリカ・ジョージワシントン大学の研究グループは、太り過ぎの閉経後の女性64人を対象に、脂肪の摂取を減らし植物性食品を多く摂取する栄養指導を行って体重の変化を調べました(文献4)。その結果、栄養指導を受けた人の体重は、14週間後に平均で5.8kg減少しました。
以上のように、脂肪を減らし果物など植物性食品を多く摂取するとダイエットに効果があります。果物は美味しくて食べやすいので、仕事で忙しい人や子供たちにも喜んでもらえると思います。
【文献】 1)
Newby P.K. et al.: Risk of overweight and obesity among semivegetarian,
lactovegetarian, and vegan women. Am. J. Clin. Nutr. 81: 1267-1274.
(2005)
2) Scheuermann-Freestone, M., et al.: Impaired Cardiac Energy
Metabolism and diastolic dysfunction in normal subjects after two weeks on a
high-fat, low-carbohydrate diet. Am. Heart Assoc. Sci. Sess. Oral present. Nov.
13 (2005)
3) Howard, B.V., et al.: Low-Fat Dietary Pattern and Weight
Change Over 7 Years: The Women's Health Initiative Dietary Modification Trial.
JAMA. 295: 39-49. (2006)
4) Barnard, N.D., et al.: The effects of a
low-fat, plant-based dietary intervention on body weight, metabolism, and
insulin sensitivity. Amer. J. Med. 118: 991-997. (2005)
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