|
「高タンパク質ダイエット」など低炭水化物ダイエットが一時、ブームとなりました。簡単にまとめると低炭水化物ダイエットとは、炭水化物を主体とするごはんなどを控える、あるいはまったくとらないでタンパク質などの摂取を増やすと、体重が減少するとする食事摂取法です。確かに、低炭水化物ダイエットをすると最初は体重が減少するようです。
しかし、炭水化物を極端に抑えて体重を減らす方法は、腎臓や肝臓に負担がかかり、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病など生活習慣病発症のリスクが高まるとされています。アメリカがん研究財団は、糖尿病などの研究団体、消費者団体とともに、本質的な栄養摂取のための共同体(the
Partnership for Essential
Nutrition)を設立し、「低炭水化物ダイエットには科学的根拠がない」と批判しています。また、アメリカがん研究財団によると、「財団などが推奨している脂肪の摂取を減らし、果物と野菜を増やすダイエットとの比較調査では、最初の6カ月は低炭水化物ダイエットの方が急激に体重が落ちるが、体重を減らす効果は1年後にはほぼ同じになる」としています。
果物、野菜、豆類、全穀粒を多く摂取すると生活習慣病を予防できることは、科学的に証明されており、これらの主成分は炭水化物です。「低炭水化物ダイエット」などの「偏食ダイエット」では栄養バランスを欠いているため、代謝異常が起きるために体重が減ると考えられています。
我が国でも「炭水化物は太る」との説が一部で流布しています。その根拠に動物実験の結果が上げられています。しかし、その研究を詳細に検討すると、体重の増加した動物の食餌は、低炭水化物ダイエットとは逆に、超高炭水化物ダイエットとなっています。炭水化物だけを食べるような偏食ダイエットのために、代謝異常が起きて体重が増えたと考えられます。通常のレベルで炭水化物を摂取した動物の体重は増えることはありません。
また、「脂肪より炭水化物の方が太る」との説もあります。しかし、ラットにカロリーを同じにして炭水化物を主に摂取した群と脂肪を主に摂取した群とを比較したところ、脂肪を主に摂取したラットの体内脂肪は、炭水化物を主に摂取したラットと比較して統計的に有意に高かったと報告されています。この実験結果は、同じカロリー量なら脂肪分を含まない果物の方が太らないことを示しています。
以上のように、「果物には炭水化物が含まれているから太る」は誤解です。
|
|
|