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ダイエットへの関心は高いのですが、成功率は必ずしも高くありません。例えば、アメリカの女子大生は、太り過ぎかどうかに関係なく83%がダイエットの経験をしていると報告されています(文献1)。
しかし、目標体重を達成したのはわずか19%でした。しかも、肥満と関係する朝食抜きの女子大生は32%もいました。
食事の量を大幅に減らすようなダイエットは、一時的な体重の減少につながりますが、長続きしません。最初の意気込みが薄れてくると中途で挫けてしまいます。その理由の一つに空腹感があります。
空腹感に耐えられなくなると今度は食べ過ぎてリバウンドで前よりも体重が増加してしまうこともあります。
空腹感に耐えることなく楽しみながらダイエットするにはカロリーが少なくて、重さに比べてボリュームが大きく、水分や食物繊維を多く含む食品が優れています。
摂取する水の量と満腹感について女性24人を対象に調査が行われました(文献2)。食材が同じで水の量が異なる3つの料理 1)鶏肉のキャセロール(洋風のふた付きの厚手鍋(なべ)を用いた料理) 2)鶏肉のキャセロールに356gの水を加えたもの 3)同じ食材で作ったスープ を摂取してもらったところ、水でボリュームが増えたスープを飲んだ人でかなり満腹感が得られました。
また、アメリカ・タフツ大学の研究者らが満腹感と体重との関係について調べた報告によれば、低カロリーで食物繊維が多い食材の摂取は空腹感を減らし、満腹感を促進するとしています(文献3)。
カロリーの多い脂肪の摂取だけを減らすダイエット法よりも、脂肪の摂取を減らすと同時に低カロリーでボリュームが大きく、食物繊維の多い食品を摂取する方がダイエット効果が高いことが分かりました。
この方法を6カ月以上続けると、単に脂肪を減らした人より体重の減少量が3倍も大きいことが分かりました。その理由として、脂肪食品を減らすだけでは満腹感が得られないためとしています。
果物は、水分と食物繊維を多く含み、低カロリーでボリュームも大きい食品の代表です。アメリカ・デラウエア大学の7人の男子学生と5人の女子学生を対象に、食品(リンゴ、ジャガイモ、パン、チャパティなど)と、摂取後の血糖値と満腹感について調査したところ、リンゴを食べた学生で血糖値の上昇が少なく、食後の満腹感が高く、かつ、満腹感が最も持続しました(文献4)。
以上のように、低カロリーでボリュームが大きい果物を食べると満腹感が得られるので、空腹感を覚えることなくダイエットすることが出来ます。
【文献】 1)
Malinauskas, B.M. et al.: Dieting practices, weight perceptions, and body
composition: A comparison of normal weight, overweight, and obese college
females. Nutr. J. 5: 11. (2006) [doi: 10.1186/1475-2891-5-11]
2) Rolls,
B.J. et al.: Water incorporated into a food but not served with a food decreases
energy intake in lean women. Am. J. Clin. Nutr. 70: 448-455. (1999)
3)
Yao, M. & Roberts, S. B.: Dietary energy density and weight regulation.
Nutr. Rev. 59: 247-258. (2001)
4) Krishnamachar, S. & Mickelsen, O.:
The influence of different carbohydrate sources on blood glucose levels and
satiety effect of physical activity on blood glucose response. Hum. Nutr. Food
Sci. Nutr. 41F: 29-40. (1987)
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