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□ 果物摂取で二日酔い予防
師走に入り忘年会などでお酒を飲む機会が増えてきました。適量を飲んでいれば問題はないのですが、飲み過ぎると二日酔いになります。
二日酔いとは、お酒を飲んだ翌朝、血中アルコール濃度が低くなり、ほとんど消えた状態になっても頭痛やだるさなどの不快な症状が残る状態をいいます。ただ、二日酔いは、お酒に強い人と弱い人ではかなり個人差があるようです。
二日酔いになったとき血液検査すると、低血糖、アシドーシス、低カリウム血症、低カルシウム血症、脱水が認められます。飲んだアルコールは、胃と小腸で吸収され門脈を通って肝臓に入り、そこで代謝・分解されます。この分解過程が順調に進めばあまり問題はないのですが、アルコールの量が多すぎたり、体調が悪くて代謝・分解が出来ないと、アルコール分解過程の中間代謝物であるアセトアルデヒドが血中へ溢れだします。このアセトアルデヒドが二日酔の主な原因です。一般的にアルコール分解にかかる時間の目安は下記の式で現されます。
時間=(180÷体重)×酒単位
酒1単位とは、ビール大瓶なら1本、ウィスキーならダブル1杯、日本酒なら1合、焼酎(25度)ならコップ1/2杯、ワインならボトル1/3本です。従って、体重60キロの人が、ビール1本と日本酒1合、焼酎コップ1杯を飲んだ場合の分解所要時間は、180÷60×(1+3)=12時間となります。アルコールの分解速度には個人差がありますが、夜12時に飲み終えた場合、お酒が完全に抜けるのは昼頃ということになります。
二日酔いにならないための最大の対策は飲み過ぎないことですが、二日酔いになってしまった場合、何とかスッキリしたいものです。二日酔い用の胃腸薬は効果的ですが、食べ物でも回復を早めることが出来ます。例えば、果物や果実ジュースなどが有効です。昔から酔い覚ましにはカキがいいと言われています。島根大学の板村教授らの研究によれば、大学生に清酒90mlを飲んでもらい、飲酒から30分後にカキを一個食べた人と、食べなかった人を比べた場合、カキを食べた人の血液中のアルコールの濃度が40%も減っていました。またアセトアルデヒドの濃度も約30%減少したとのことです。カキに含まれているタンニンの効果と考えられています。
アルコールには、体内の水分を奪う脱水作用と尿の排泄をうながす利尿作用とがあります。そのため、尿と一緒に、カルシウム、カリウム、ビタミンBl、ビタミンB2、ビタミンCなどが体内から排出されてしまいます。従って、不足している水分やカルシウム、カリウム、ビタミンB1、B2、Cなどを補給する必要があります。また、糖の不足分を補うためには血糖値をほとんど上昇させない果糖(フルクトース)が最適です。そのため、二日酔い対策には、果糖やカリウム、ビタミンを含むカキやリンゴ、ミカンなどの果物や果実ジュース類の摂取は効果があります。
また、血液中にアルコールが残っていなくても二日酔い症状がでる人もいます。その場合の原因物質はケトン体です。このケースでは、ケトン体を代謝しやすくするクエン酸の摂取が有効です。クエン酸は、梅干しやレモンなどのカンキツ類に多く含まれています。
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