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□ 果物摂取で夏ばて予防
今年は例年にも増して暑い夏が続いています。日本の夏は、高温多湿で蒸し暑いため、生活リズムが崩れやすくなります。そのため、食欲がなくなり、身体全体がだるく疲れがとれない、何もする気がおこらない、下痢や便秘になるなどの夏ばての症状がでてきます。
夏ばては、発汗による水分やミネラル不足、栄養バランスの偏り、睡眠不足による疲労の蓄積などが原因と考えられています。暑いと発汗により水分が出てしまうので、吸収される水分の量が追いつかなくなります。また、消化器官の機能が低下し、本来必要とする栄養素が不足し体力を消耗します。そうなると、ますます食欲がなくなるといった悪循環が生じます。これに睡眠不足が加わるとさらにばてます。
夏ばて対策としては、こまめな水分の補給が必要です。暑くて喉が渇いたといって、冷たい飲み物ばかり大量に摂取すると、吸収されず胃が膨満し、食欲がさらに低下します。夏ばてには、少しずつ水分補給を行うことが大切です。従って、こまめな水分補給には、水分の多いナシ(水分88.0%)、スイカ(水分89.6%)などから摂取することも適切なやり方です。昔は、夏の暑い日に家族が縁側に並んでスイカを食べることがありました。
夏は、ビタミンB1などの栄養素が不足しがちです。ただ、夏バテなどで体力が消耗しているときは、無理してカロリーの高いものを食べようとしても逆効果です。こんなときは、梅干しなどの酸味は、胃液の分泌を活発にして消化を助け、食欲を増進させます。
暑い夏には、のどごしの良いそうめんや冷や麦などの淡泊な食事になりがちです。そのため、栄養バランスが偏り、ビタミンなどが不足します。こんな時には、簡単に食べられて、ビタミンが豊富なミカンやモモ、ブドウなどの果物を一緒にとると栄養価が向上します。例えば、そうめん1人前(200g)だけですとビタミン不足となりますが、ミカンを2個加えると栄養価が格段に向上します(表)。そうめんには含まれていないビタミンAやCが付加されるだけでなく、夏ばて予防に有効なビタミンB1が、これだけで1日に必要な栄養所要量を男性で20%、女性で28%も満たせます。旬のものを食べるのは、おいしいだけでなく健康にもよいものです。果物をしっかり食べることが、夏バテ防止の秘けつです。
また、夏ばて回復には十分な睡眠時間を確保することも大切です。今年は、これからアテネオリンピックの放映が始まるので、睡眠不足には気をつけて下さい。眠れないときなどには、39度前後のぬるめのお風呂に入ると良いようです。昔は、土用の季節(今年は7月19日から8月7日)には、「桃の葉」を、お風呂に入れる習慣があったそうです。桃の葉には神経を休める効果だけでなく「あせも」や「湿疹」によくきくと伝承されています。
表 そうめんとウンシュウミカンの相乗効果
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そうめん(ゆで) ウンシュウミカン
1人前(200g) 2個(200g)
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カリウム(mg) 10 300
A (μg) 0 360
B1 (mg) 0.04 0.18
葉酸 (μg) 4 44
C (mg) 0 66
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