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   スロー風土抄    by 大塚栄寿



      

第4回

尾瀬がラムサール条約に登録



 尾瀬はいま、冬の眠りについている。尾瀬ヶ原や沼も、燧ヶ岳や至仏山も雪に覆われて、5月下旬にミズバショウが咲く頃までは人影を見ない。
 昨シーズンの終わり11月に、尾瀬はラムサール条約の新たな登録湿地として認められた。ラムサール条約は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」で、1971年カスピ海沿岸の町ラムサールで採択された。日本は1980年10月に加入し、この年に北海道の釧路湿原を登録して以降、宮城県の伊豆沼・内沼(85年)、千葉県の谷津干潟(やつひがた、93年)など13カ所が登録された。

 ラムサール条約は、はじめは水鳥に重点をおいていたが、1999年の第7回締約国会議で生態系の保全に重要な湿地に対象を拡大し、2005年までに登録数を倍増する目標をたてた。わが国でも尾瀬を含む20カ所が11月8日付で新たに登録された。
 尾瀬の登録認定証は12月17日、東京・有楽町朝日ホールで開かれた尾瀬保護財団設立10周年記念シンポジウムの折に群馬、福島、新潟県知事および関係自治体に交付された。
 
 尾瀬は日光国立公園の一部。群馬県片品村、福島県桧枝岐村、新潟県湯之谷村(2004年、魚沼市に合併)にまたがり、尾瀬ヶ原(標高1,400メートル)と尾瀬沼(同1,660メートル)を含む地域を指す。面積は25,268ヘクタール、国有地31%、民有地69%だ。うち8,757ヘクタールが特別保護地区に指定されていて、(a)自然景観が原生的な状態を保持している(b)高山帯、亜高山帯、風衝地、湿原など(c)植物、野生動物の生息地、繁殖地としてシ重要(d)地形・地質が特異であり、特異な自然環境がある、などの条件をみたしている。また、尾瀬のほとんどが文化財保護法によって特別天然記念物にも指定されている。

 尾瀬の入山者は年間に約45万人。とくにミズバショウの季節、ニッコウキスゲの咲くころ、紅葉のシーズンに多い。1日あたり入山者の上位10日を環境省のデータ(2001年)でみると、@6月9日(土)12,415人 A7月20日(金)11,702 B7月21日(土)11,098 C10月7日(日)10,024 D7月14日(土)9,598 E10月6日(土)9,113 F6月3日(日)8,657 G6月2日(土)8,465 H6月10日(日)7,529 I7月22日(日)7,234 計95,835人となっている。これをみれば、6月と7月の週末がもっとも混雑し、ざっと2割がこの時期に集中することがわかる。入山口別では、群馬県側の鳩待峠からが49.8%、次いで福島県側の沼山峠から26.5%、群馬県側の大清水から7.7%、その他16.0%である。

 現地では湿原、沼の富栄養化対策、湿原や至仏山の植生回復などに、毎年、たくさんのボランティアが活動している。わたくしも昨年、ボランティアの登録をした。新聞記者のころ、尾瀬へ何回か取材に足を運んだ。春から夏へかけての花々や尾瀬ヶ原の芝紅葉に目を洗われた。ほんのわずかでも、お礼ができたらいいな、と思っている。




尾瀬保護財団10周年記念シンポジウム「尾瀬のこれまでとこれからを考える」=東京・有楽町の朝日ホールで




ラムサール条約の登録認定証を受ける群馬・福島・新潟の3県知事と片品村、桧枝岐村、魚沼市の首長ら=朝日ホールで


(2006.1.27記)



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