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 ■ キッズQ リンゴはなぜ落ちるの?


      
 リンゴはなぜ落ちるのでしょうか?ニュートンの発見した重力も関係していますが、重力だけでは落ちません。

 リンゴ果実は軸(果柄)で枝とつながっています。果実の成熟が進み収穫期近くになると枝と軸の間に離層と呼ばれる木質化しない特殊な細胞層が形成されます。離層が形成されると軸と枝の間が明確なり、外側からの切れ込みが入り、それが徐々に大きくなり、やがて果実は落果します。果実が落果しやすい品種は、‘つがる’,‘スターキングデリシャス’,‘王林’などで、落果しにくいのは‘ふじ’,‘さんさ’,‘ガラ’などです。

 離層の形成には、植物ホルモンや細胞壁を分解する酵素が関係しており、果実の落果のメカニズムは、葉の落葉などと同じと考えられています。塚原一幸(長野県果樹試験場)らの研究によれば、植物自身が作る植物ホルモンの1つで成熟・老化などに関与するエチレンの発量は、落果の多い‘つがる’,‘スターキングデリシャス’などで多く、落果の少ない‘ガラ’‘さんさ’‘ふじ’では少ないことが分かりました。また、エチレンの発生を抑制する薬剤(AVG)で軸と枝を処理すると落果数が減少しました。さらに、落果の多い‘つがる’では、離層が形成される部分で細胞壁を分解する酵素の1つであるセルラーゼの活性が高く、反対に、落果の少ない‘さんさ’では低いことを明らかにしました。

 こうした研究から、果実の落果は、植物体内にエチレンが生成され、そのエチレンが離層の形成を促進し、セルラーゼにより細胞壁が分解され、離層が崩壊しやすくなり、最終的に果実が落果すると考えられています。収穫前に果実が落果すると収量減に直結するため、落果防止技術の開発は、果樹栽培上の大きな課題の一つです。



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