|
第11回
□ 果樹の接ぎ木を楽しみましょう
沢山のくだものの出回る季節。美味しいくだものに出会い、自分でも作ってみたいと思われている方もいるのではないでしょうか。また、庭にある品種を新しい品種に更新してみたいと思われたことはありませんか。
果樹の場合、美味しいと思った果実の種を蒔いて育てても、遺伝的に異なるため同じ物はできません。また、種からでは、たいていは食べた果実より美味しいものができないのが普通です。
では、どうすれば美味しいと思った果実と同じ実をならすことができるのでしょう。品種名が分かれば同じ品種の苗木を購入するのが手っ取り早い方法です。品種名が分からなくても美味しい果実をつけている樹がある場合は、その枝や芽を頂いて我が家で「接ぎ木」、「芽接ぎ」して殖やすことができます。
植物を殖やす方法には、種子で殖やす方法(種子繁殖)と枝や芽等の栄養体といわれる植物の一部を用いて殖やす方法(栄養体繁殖)があります。しかし、果樹の場合、同じ品種を殖やすには、枝や芽などの栄養体から殖やすことが必要です。その方法には、取り木や株分け法や挿し木法、接ぎ木法等があります。ただし、取り木や株分け法では沢山殖やすことはできません。また、挿し木法では根の出やすい樹種(ブドウなど)に限られてしまうので、果樹では接ぎ木法が最も多く用いられています。
挿し木繁殖が可能な果樹は、比較的容易に発根するブドウやイチジク、ブルーベリー、キウイフルーツなどです。ただ、ブドウの場合は根に付くアブラムシ(フィロキセラ)が樹を枯死させることがあるので、農家などは、挿し木繁殖はあまり行わず、アブラムシ抵抗性の台木に接ぎ木しています。
果樹で最も一般的な接ぎ木はどの様な時期にどの様な方法で行うのでしょう。植物が活動している期間はいつでも可能ですが、活着率や作業の容易さなどを考えると、その適期は一般的に年2回あります。1回目は3月下旬頃〜4月中旬頃、2回目は8月下旬頃〜9月中旬頃です。
接ぎ木の方法は沢山ありますが、「春の切り接ぎ」、「秋の芽接ぎ」が一般的です。接ぎ木は、新しい品種の苗木を育てることはもちろんのこと、庭に植えられている品種を新しい品種に変えること(高接ぎ更新という)もできます。さらに、1樹(1鉢)に2〜3品種を接ぎ木することや、枝のない場所に枝を出させたりすることも可能です。あるいは受粉樹の必要な品種に受粉用の品種を接ぎ木することもできます。
次回は、8月下旬から9月中旬までに作業したい芽接ぎについて説明します。
(2005/8/19記)
御感想などのメールをお待ちしています。
お便りは右の図をクリックしてお送りください→
無断転載は、引用を含めて、お断りします。 ご協力に感謝いたします。
Copyright 2005 勝ちゃんの家庭で楽しむ果物作り All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
|
|
|