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第12回
□ 芽接ぎ(めつぎ)
接ぎ木を行うには台木が必要ですが、接ぎ木用の台木養成については別の機会にお話しすることとします。今回は台木となる実生苗や高接ぎのできる樹があることを前提に、モモ、ナシの芽接ぎについてお話しします。
芽接ぎの適期は、活着後再び芽が伸びない8月下旬〜9月中旬頃です。芽接ぎの方法には接ぎ芽の取り方、台木の削り方によって「管芽接ぎ(くだめつぎ)」、「T字芽接ぎ=楯芽接ぎ」、「削ぎ芽接ぎ」「嵌(は)め芽接ぎ」、「L字芽接ぎ」等がありますが、今回は比較的操作の簡単な「削ぎ芽接ぎ」についてお話しします。
<穂木の用意>
芽接ぎには、今年伸びた枝(新梢)の芽(休眠芽という)を用いますが、作業の手順として最初に芽のついた穂木を用意します。健全な葉がついている充実した枝を選び、直ちに葉柄を残し葉身部を除去します。葉柄を残すのは接ぎ芽を台木に挿入するとき、手で持つ部分とするためです。また、接ぎ芽の活着を確認(10〜14日後この葉柄が離層を形成しているようであれば成功)する際に利用します。接ぎ芽を選ぶときは、@芽が無傷であること、A病害虫に侵されていないこと、B芽が充実していることが大切です。穂木の採取は芽接ぎの当日に行い、採取したら乾燥させないことが大切です。
モモの場合、花芽だけの芽があるので注意する必要があります。葉芽の充実したもの、または、花芽と葉芽が一緒に付いている芽(複芽という)を用います。ナシの場合は、花芽には通常葉芽(混合芽という)が含まれていますが、充実した葉芽を用いると新梢が良く生育します。
<接ぎ芽の作り方>
芽接ぎには、枝の切り端から3〜4個上の芽を用います。芽の取り方は、芽の基部にわずかに木質部を残すように切り取ります。芽接ぎ用に選んだ芽の上部10mm位のところからナイフの刃を下方に向かって入れ、鉛筆を削る要領で芽の下15〜20mm位のところまで、少し木質部が残るように斜めに削り下げます。削り下げたら今度は芽の下から15〜20mmのところへナイフの刃を少し斜め(40度位)に入れ、芽を切り取ります。できあがった芽接ぎ用の芽はタケノコの様な形で、長さが30〜35mmになっているはずです。接ぎ芽は乾燥しないように湿った布などの上においておきます。口の中に芽を入れておくという簡単で効率の良い方法もあります。
<芽接ぎ位置>
実生苗の場合、一般的に地際から5〜10cmの位置に1〜2芽接ぎます。
<台木の削り方>
台木にする部分の大きさは、直径約8mm(鉛筆の大きさ程度)〜12mm程度のものを用います。芽を挿入(装着)するために芽と同じ形でやや大き目に台木を削り取ります。次に、芽を台木の削った部分に挿入し台木と密着させ、芽と台木の形成層同士が接するようにします。この点が成功するか失敗するかのの鍵を握っています。
接ぎ木テープ(ビニール製、パラフィルム製など)で葉柄と芽を巻き込まないように芽の下部から上に巻きます。雨水が入らないように巻きあげれば芽接ぎは終わりです。活着していれば、翌春、発芽前に接ぎ芽した実生苗を接ぎ芽から5mm位上のところで、必要のない上の部分を切り離します。実生苗の切り口には乾燥防止のため接ぎロウなどを塗りましょう。
(2005/8/26記)
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