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第13回
□ 接ぎ木(一芽腹接ぎ、腹接ぎ)
品種の更新や花粉用品種を接ぐ場合や大きい枝のはげ上がった部分に新しく枝を作る場合に接ぎ木を行います。接ぎ木は、時期や接ぎ木対象部位(側枝、亜主枝、主枝、主幹(台木))によって接ぎ木法( 一芽腹接ぎ、腹接ぎ、切り接ぎ、剥ぎ接ぎ 、芽接ぎ)を使い分けます。さらに、一度に接ぎ木を行う一挙更新法と順次に行う漸次更新法があります。
今回は一芽腹接ぎ法と腹接ぎ法についてお話しし、切り接ぎ法と剥ぎ接ぎ法については、別の機会に紹介したいと思います。また、芽接ぎについては前回(12回)をご参照ください。腹接ぎ法とは、台木や幹の一部に切り込みを入れ、そこに穂木を差し込む接ぎ木法です。
【腹接ぎの時期・手順】
○ 一芽腹接ぎ法(ナシ、カキの場合)
一芽腹接ぎの時期は、枝や幹の表皮をはがし易い4月〜5月の春に接ぎます。一芽腹接ぎをする前に、樹の幹や枝の表皮が粗く、切り出しナイフなどで切り目を入れるのが困難な場合は、粗皮部分を鎌などで削って軟らかい皮の部分を出しておきます。一芽腹接ぎの手順は以下の通りです。
手順1) 接ぎ木したい幹や枝に、一芽接ぎ穂を差し込む切り目を入れま す。枝に平行に切れ目を入れ、次に、先端側を直角に切れ目を入れま す。右側を枝の先端とする「コの字」のように切れ目を入れます。切 れ目は、木質部に達するまで切り込み、一芽接ぎ穂を差し込めるよう に表皮をめくれるようにしておきます。切れ目の長さは35〜40mmとし ます。
手順2) 一芽接ぎ穂は、芽の上5〜10mm、長さ35〜40mmに切り取ります。切り取ったら芽の付いている反対側を全面、木質部をわずかに付け形 成層が出るように平らに削ります。次に一芽接ぎ穂先端はできるだけ直角に、基部は45度に削ります。
手順3) 一芽接ぎ穂を手順1)で幹や枝に切り込みしたところに挿入しま す。幹や枝の切り込み部分と一芽接ぎ穂全体が密着するようにします。
手順4) ビニールテープなどで芽の部分が出るように巻き終えれば完成 です。
○ 腹接ぎ(果樹全般)
腹接ぎの時期は、一般的には落葉果樹では春(4月〜5月)に行い、カンキツでは秋(9月中旬頃)に行います。落葉果樹では、一芽腹接ぎと同様に腹接ぎをする前に、台木の表皮が粗く、切り出しナイフなどで切り目を入れるのが困難な場合は、粗皮部分を鎌などで削って軟らかい皮の部分を出しておきます。腹接ぎの手順は以下の通りです。
手順1) 台木を表皮から木質部に達するよう、切り出しナイフなどで「逆三角形」に削り下げ、削った面の両脇に形成層が出るようにします。
手順2) 穂木は将来伸ばす方向を考え、芽を削る位置を決めます。
手順3) 穂木は、削った面が台木部と同じ形になるように削り、形成層 が出ているようにします。横からみると削った部分が「くさび形」に見えます。
手順4) 穂木の切り口と台木の割れ目の大きさに差のある場合は、穂木 と台木の削った面の形成層の片側同士が合わさるように穂木を挿入し ます。接ぎに、穂木と台木を密着させ、ビニールテープなどで芽の部 分が出る様に巻きます。
手順5) 最後に、接ぎ木部に雨水が入らないように、また、接ぎ木部の 乾燥を防ぐために傷口に癒合剤を塗布します。
(2005/9/12記)
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