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第23回
□ 剪定の実際−その2
前回に引き続いて枝を切る前に考えておかなくてはいけない樹形(樹姿)についてお話しします。剪定の目的は、樹を育てながら、品質のよい果実を収穫するためです。そのため、樹全体をどのように仕立ててどのような樹形(樹姿)にするのかがとても大切です。
果樹栽培の現場での主な樹形は、@主幹形、A変則主幹形、B開心自然形、C開心形(杯状形)D棚仕立て等があります。以下に樹形についての概念をお話しします。
@ 開心自然形:根元から生えている太い幹(主幹)の長さを60〜90cmとして、主幹から出ている主枝を2〜4本に立てる樹形で、果樹栽培では現在最も一般的な樹形です。樹の性質として比較的枝が開きやすいモモ、ウメ、スモモ、カンキツ等で行われている樹形で、リンゴでは成木になるとこの樹形とします。
A 主幹形:杉、桧などの自然木で見られるような、主幹を中央にまっすぐ立てる樹の形に仕立てることを主幹形仕立てと言います。リンゴやカキ、クリ等の幼木期には樹を早く大きくする意味からこの樹形が一般的となっています。年数が経つにつれて主幹を短くし、変則主幹形か開心自然形に移行させます。
B 変則主幹形:開心自然形に比べると主幹が長く主枝数も多い樹形です。カキやナシ、リンゴでは自然の樹形に近く初期成育が良くなり、結果期に達するのが早くなります。最終的には主幹の長さを2〜3mで切り、主枝を3〜4本に配置する樹形にします。カキ・クリ等の成木で行われています。
C 開心形(杯状形):古くはモモの樹形として多く用いられた樹形です。主幹の長さを40〜50cmとし、ほぼ同じ位置から主枝を杯状に開く樹形でです。
D 棚仕立て:ブドウ、ナシの栽培では一般的な仕立て方です。近年、モモ、カキ、スモモなどにおいても一部行われています。棚面に枝を配置するのが棚仕立てですが、樹形はナシとブドウでは大きく異なります。
E その他の樹形:リンゴでわい性台木を利用した場合の樹形は、細型の主幹形仕立てとしています。
家庭果樹では、果樹栽培のために使えるスペースに限りがあると思います。その場合は、基本的にはこれらの樹形を参考にして樹の占有できるスペースにあった管理しやすい樹形にするとよいでしょう。
(2005/12/13記)
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