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第28回
□ 剪定の実際 − モモの剪定
剪定はモモに始まりモモに終わると言われています。そこで、モモの整枝・剪定についてお話しをすすめます。そのことによって、モモ以外の果樹についての剪定も理解していただけたらと考えています。モモの樹の剪定をする前に、モモの樹の特性を記しておきます。
1.モモ樹の特性 1)モモの樹は日当たりを好みます。成育が順調ならば花がつくのも早いので苗木を植えてから2〜3年で沢山の実をつけ始めます。
2)枝の伸長が旺盛で多くの副梢(新しく出た枝から、さらに出る枝のこと)が発生しやすい樹種です。
3)モモ・クリ3年といわれるくらい、実がなるのが早いのですが、他の果樹と比べて樹の命は短い方です。
4)樹姿(樹の全体的な形)は、枝が横方向に張り出して成長するため、樹全体が横に開きやすい性質(開帳性)があります。
5)日照(太陽の光が地上を照らすこと)の要求量が高いため、枝や葉が茂り過ぎると光が遮られた枝は日照不足となり枯れ込みます。
6)傷口の癒合は悪い部類に入ります。
7)太枝の部分からの発芽が少ないため、日の光が直接太枝にあたり日焼けをおこしやすくなります。
8)陰芽(枝の基部につく芽で法がしないまま休眠した状態の芽)の発生が悪いため、樹齢が進む(3年以上)につれて、枝の基部に芽がなくなり、果実のなる芽の位置が枝の先端だけになりやすいので剪定の時、留意する必要があります。一方、カキやナシなどでは大枝や 古い枝を切っても切り口の周辺から新しく芽がでてきます。
2.モモの結果枝 モモの結果枝(果実がなる枝)の先端は必ず葉芽になります。次の芽は花芽や葉芽が単芽として、あるいは花芽と葉芽が一緒にある複芽として、新梢の葉腋(腋芽)に形成されます。結果枝の呼び方は長さで分けられ、30cm以上の結果枝を長果枝、10〜30cmを中果枝、3〜10cmを単果枝と呼びます。結果枝のどの枝のどの部分に花が咲くかを知り、果実を成らせる目安にします。
以上のような樹の性質を考え、残す枝、切り捨てる枝、あるいは一本の枝のどこまで残すかを判断しながら剪定を行います。
【用語解説】 腋芽とは: 腋芽は、芽の包葉の付け根(葉腋)の内側にあります。成長点をもっている芽が伸びると腋芽の生長は抑えられますが、この芽の生長が停止すると、腋芽が生長をはじめ花芽の分化を起こします。
【今月の作業のヒント】 冬には常緑のカンキツ類も、落葉果樹類もほとんど休んでいます。寒い冬場はカンキツ類では防寒をする必要がありますが、落葉果樹類ではほとんど必要ありません。冬場の主要な作業は剪定や土つくりなどです。
(2006/2/6記)
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