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第44回
□ 家庭で楽しむブルーベリー栽培12
繁殖その1
果樹の繁殖法には大きく分けて種子繁殖法(実生法)と栄養繁殖法とがあります。ブルーベリーに限らず果樹は遺伝形質が固定していないため、種子繁殖法では親と異なった様々な形質の個体が生まれます。そのため、果樹では種子繁殖法を品種の増殖には用いず、品種改良や台木の養成に利用しています。
栄養繁殖法は枝などの栄養器官の一部を親から切り離して新しい個体を育てる方法です。そのため、親の形質をそのまま受け継いだ新しい個体ができます。主要果樹の増殖は、主に栄養繁殖で行います。ブルーベリーは発根が比較的容易なため挿し木による繁殖法が一般的ですが、他の果樹では発根が困難なため接ぎ木繁殖法が行われています。その他、栄養繁殖法には、取り木や「ひこばえ」を利用した株分け等の方法もあり、少量の個体を増やす場合などに用いられています。
○ 挿し木 ブルーベリーの挿し木法には、1)緑枝挿し法と、2)休眠枝挿し(熟枝挿し)法があります。
1.緑枝挿し 【挿し穂の取る時期、作り方】 新梢の伸びが止まり先端の葉がやや硬くなった頃の5月下旬から6月下旬頃が穂木(緑枝)を取る時期となります。6〜7枚の葉を付けて枝を取り、先端の葉を2〜3枚残し下の葉は摘み取り挿し穂とします。残す葉が大きい場合は葉を半分程度に切ります。この挿し穂の基部をよく切れる切り出しナイフ等で斜めに切り削ぎ、次ぎに反対側(裏側)を少し切り返します。水を入れた容器を用意しておき、採取した穂木が乾かないように容器に入れ、十分に吸水(2時間以上)させておきます。
【挿し床、挿し方】 育苗箱、素焼き鉢、プランター等の容器を用意します。挿し木用土としては水苔、鹿沼土、ピートモス、川砂、赤玉土などを用います。入手が容易で経費的には鹿沼土単用が実用的ですが、水苔やピートモスの単用、ピートモスと鹿沼土の混合(1:1)したもの等もよいでしょう。さらに移植容易なジ−フィポット(ピートモスを1cm程度に圧縮成型したもので、吸水により5cmに膨張する)も有効です。どの用土も穂木を挿す前に十分に吸水した状態にしておきます。挿し穂は基部の2〜3節を挿し床に埋まるように2〜3cm間隔に挿します。挿し木後はたっぷり灌水し挿し床を落ち着かせます。
【挿し木後の処置(休眠期挿しも同じ)】
挿し終わったら戸外に置き、寒冷紗や少量なら市販の保温キャップなどを利用し覆いをし、水を切らさないようにします。ただし挿し床の底に水を張ると加湿となり穂木が腐ります。
【用語解説】 ひこばえ:幹の根元から新たに生えてきた枝のことで、勢いよく伸びる徒長枝(とちょうし)などです。
(2006/12/15記)
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