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第46回
□ 家庭で楽しむブルーベリー栽培14
繁殖その3
○接ぎ木の目的
接ぎ木による繁殖の目的は、同一品種(同じ形質を有する品種)の増殖を行うことです。台木には実生台木(みしょうだいぎ:種を蒔いて作った台木)や発根の容易な台木(例:リンゴ台木としてのマルバカイドウやサクラの台木としてのマザクラ等)を使用します。接ぎ木は、それら台木に目的の品種を接ぎ木します。
台木の種類を選ぶことによって、樹を大きく育てたり、小さく(わい性台木)育てたり、果実が実までの年数を早めたりすることが出来ます。また、病害虫に対して抵抗性を有する台木(例:ブドウのフィロキセラ(根アブラムシ)に対する抵抗性台木)を利用すると病害虫の発症を防ぐことも出来ます。また、接ぎ木の目的には、現在の品種に替えて品質のよい新しい品種・系統に更新することもあります。
○ブルーベリーの接ぎ木
ブルーベリーの接ぎ木栽培の大きな目的にはハイブッシュ系が生育しにくい場所でも土壌に対する適応性がハイブッシュ系より広く、樹勢の旺盛なラビットアイ系を台木としてハイブッシュ系を接ぎ木することで作りやすくなるということから始まったとされています。
○接ぎ木の方法
接ぎ木の方法には(1)芽接、(2)枝接ぎ、(3)高接ぎ等の方法があります。ブルーベリーも他の果樹と同様、芽接も枝接ぎもよくつながります。時期としては切り接ぎなどを中心とする春接ぎと、芽接などが中心の秋接ぎがあります。
1)芽接
(1)時期と方法:生育中の新梢の芽を使用し8月〜9月上旬頃に行います。果樹における芽接の方法にはT字(楯:たて)芽接ぎ、削ぎ芽接ぎ、管芽接ぎ等、芽の取り方や手順によって数通りの方法がありますが、現在は操作も容易で能率的な削ぎ芽接ぎ法が多く用いられています。そこで今回は削ぎ芽接ぎ法について説明します。
(2)使用する道具:切り出しナイフまたはカッターナイフ、剪定バサミ、接ぎ木テープ(専用のテープも市販されていますが、ビニール袋などを2cm程度の巾にテープ状に切り使用することも可)
(3)手順:接ぎ木当日、接ぎ木したい品種の充実した新梢を穂木として採取し、葉身を除き葉柄部を残します。穂木は乾燥を防ぐためビニール袋等に入れておきます。台木として使用する部分は穂木の枝よりやや太めの枝で平滑な部位を選びます。
穂木の挿入部となる台木部の削り方は、接ぎ木ナイフ(切り出しナイフ)でくさび形に表皮に木質部を少し付けて3cm程度削り下げ、その部分を上部から1.5cm程度、あるいは削り下げた部位1〜2mm程度上を除きます。穂木となる芽は台木部の削り方と同様に、くさび形に削った台部より5mm程度短めに作ります。くさび形に作った接ぎ芽を、削っておいた台木部に、台木と穂木の形成層同士が接するように挿入します。
挿入後、芽の部分は出るようしながら接ぎ木部全体をビニールテープ等で巻き縛ります。パラフイルム(商品名:メデール等)のようなテープで被覆する場合は、芽自身がフイルムを破り発芽、伸長するので接ぎ木部全体を被覆することも可能です。
(2007/1/19記)
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