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第41回
□ リンゴとチーズ
「南廻りでUKへ」
1990年にイギリスへ短期留学した。
お金の無い私には,直行便などは,夢のまた夢。
南廻りで,欧州へ行く。
成田を発つと直ぐに食事が出た。機内食である。エコノミーとはいえ,フルコースもどきの食事であった。出国手続きと時間待ちのため,空腹だった私は美味しく,ガツガツと食べた。
飛行機は台北へ着いた。そこでは数十人が乗り込んだ。飛び上がると,直ぐに食事がでた。
向かった先は,香港。食事後の時間を楽しむ間もなく,全員が降り,給油を待った。
香港のビルとビルの間を飛び上がると,また食事だ。
シンガポールに着き,そこを飛び上がるとまた食事。メニューが違うので,またまた食べる。
インドのデリーに着いた。サリーを巻いた婦人が乗り込んできた。匂いもインドであった。
不思議に国の違いで,異なる香りが機内にも入り込む。
インドを出ると,またまた機内食。
ウトウトとしていると,バーレーン。
空港に全員が降り立った。免税になっている店では,きらびやかな金製品が並んでいる。
トランジットだ。
新しい飛行機に乗り,中東近を経てヨーロッパに入る。
バーレーンを出ると,また機内食。
19時間ほどの機内滞在で,7食のフルコースの食事に付き合った。
ほとんど動けないブロイラー状態で,食事につぐ食事。
イギリスに着いたときには,食べ物はもう結構(ケッコー)状態。
大学の寮に入ると,歓迎会で,食事が用意されていた。
“I’m full. Sorry.”(お腹がいっぱい。)と手を振った。
すると,寮のまかないのおばさんが心配し,別メニューの食べ物を運んだ。
「これはリンゴとチーズよ。食欲が無い時でも,体調が悪いときでも大丈夫。」とトレィを置いた。
8〜12に等分割された薄い皮付きのリンゴにチーズが挟まっていた。
「リンゴとチーズ」のサンドイッチだ。
エッ,果物とチーズ???
異色の取り合わせだ。
心配そうに覗き込むおばさんに遠慮して,しかたなく口に運んだ。
美味しい。
あれだけの機内食に付き合った私だが,このときも,リンゴとチーズを完食した。
何チーズだったのか,イギリスではこんな食べ方があったのか。
週末のプログラムであるホストマザーに聞いたが,知らなかった。(通じなかったのかな?)
あれから15年,思い出の味の再現を試みた。
塩気のほとんど無い“クリームチーズ”が一番似ているように思う。
背景は,世界文化遺産―ウエストミンスター寺院。チーズとリンゴの組み合わせ。本当に美味しい。ケーキも真っ青だよ。
(2005/10/5)
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