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第47回
□ 「吹き割り」か「吹きわれ」か
群馬県の名瀑の一つに,「吹き割りの滝」がある。
JR東日本の宣伝やNHKの大河ドラマのオープニングにも使われたものだ。
JR上越線(新幹線でもOK)・沼田駅から,尾瀬方面行き(鎌田行き)のバスで30分くらい。老神温泉のそばにある。
この滝は,溶結凝灰岩の甌穴(おうけつ)や亀裂よってできた地形らしい。
「甌穴」とは,急流の河床の岩石面にできた鍋状の穴のことで、
くぼみに入った小石が,渦流(かりゅう)で回転して,
ぐるぐる・きりきりと岩床をけずったものだという。
「凝灰岩」は,火山灰が起源の比較的やわらかな堆積岩。
「溶結凝灰岩」のできかたは,地下深いところで高い圧力がかかっていた「火山灰の元」が,地上に出て,圧力が小さくなり,溶け出し,冷えて固まり,岩になったものだろう。
凝灰岩は,結構やわらかいので,すぐに大きな穴や亀裂になる・・・と地元の大学で習った。
群馬県の名所旧跡偉人賢人(県人)などを読み込んだ「絵取りカルタ」に,上毛カルタがある。
この「上毛カルタ」は,郡市大会から県大会までがあった,子どもの教養カルタであった。
このカルタの「た」の読み札は,記憶が正しければ「滝はふきわり片品渓谷(かたしなけいこく)」というものだ。
「片品渓谷」とは,この滝が,群馬県片品郡にあるところから読み込まれたものだ。
ところが先日,久しぶりにこの滝を訪れると,「吹きわれの滝」になっているではないか。
地元の人が,「吹きわれ」と呼んでいるのだろうか。
それならば「吹き割りの滝」といい慣らした60年前からの「上毛カルタ」の呼び方も,それ以上前からの地元のものだと思うのだが・・・・。
「ふきわれ」か「ふきわり」か。
「れ」か「り」か,たった1音の違いにこだわってしまった私である。
夜が迫る時間に滝を見に行く。近くのおみやげ屋は,みな店じまいをしていた。
こんな時間に見る滝は,妖艶な怖さがあった。振り返ると月が出ていた。
(2005/10/22)
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