|
第51回
□ 国宝―源氏物語絵巻
「いづれの御時にか,女御更衣あまたさぶらひ給ひける中に,いとやむごとなききわにはあらぬが,すぐれて時めき給ふありけり。はじめより,われはと思ひあがり給へる御方々,めざましきものにおとしめそねみ給ふ。」
源氏物語が皆(高貴な方々)に愛読され,100年。時の権力者(皇太后か)が,絵巻を創らせた。
源氏物語絵巻。現存する絵巻は,19枚。
創られた当初は,何枚だったのか,今では全く不明。
阿波・蜂須賀家に伝わったもの4枚が,東京の五島美術館に収蔵され,
尾張・徳川家に伝わったもの15枚が,名古屋・徳川美術館に収蔵されている。
いずれも国宝。
もとは,絵巻・・・巻物だった。
巻いて・ほどいて見る。
900年の歳月に,傷みがひどい。
昭和になり,巻物は切断され,一枚ずつ,桐箱に納められた。
昭和の名工の作となる桐箱,そして桐箱を納める漆の箱。
箱書きの文字も,昭和の名筆。
少しずつ年末に,公開される源氏物語絵巻。
平素は,模写されたものが展示されている。
平成17年11月12日〜12月4日,名古屋徳川美術館70周年とNHK名古屋放送局開局80周年を記念して,19枚,全部が公開された。
美術館同士の作品・収蔵品の貸し借りは,原則無料。
10時の開館を待つ長い行列の先頭に,私があった。
開館し,観覧順路をショートカットして,国宝展示の部屋に入った。
しばらくは,一人だった。
絵巻を独り占めしてゆっくり見た。
復元模写(最新科学の力を結集し,絵巻が描かれた当時と同じ絵になるように,現代の絵師が模写した物)も展示されている。
とっても幸せな気分になれた。
小さな入場券が大きな幸せ気分を呼び寄せた。
徳川美術館正面の特別展の幟(のぼり)
特別展の幟ー拡大
長い行列も,待ち時間も,万博経験者には耐えられる。
(2005/11/21)
御感想などのメールをお待ちしています。
お便りは右の図をクリックしてお送りください→
無断転載は、引用を含めて、お断りします。 ご協力に感謝いたします。
Copyright 2005 家庭菜園の果樹 All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
|
|
|