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第53回
□ ザクロの味を知っていますか?
祖母の生まれた北国の漁師街には,
800年も生きた尼がいたそうな。
人の肉を喰らった罪により,
死ぬことを許されない尼だった。
八百比丘尼(ハッピャクビクニ)という。
尼は,自分の体が弱ると,「人の肉が喰いたい。」と身もだえした。
しかし,死ぬことすら許されない己が罪を受け止め,苦しみに耐えた。
その心を憐れんだお釈迦様は,
比丘尼に,ザクロの実をさずけた。
比丘尼はその実を食べると,
静かに,幸せに,人生を終えた。
それから誰となく,
「ザクロは人肉の味がする」と言うたそうな。
この話を聞いた幼い私は,
ザクロを口に運ぼうという意欲がなえた。
あれから,何十年が過ぎたろうか。
初冬の日差しの中,ザクロのルビーのような実(種)を摘んだ。
ザクロは,甘い果実ではなかった。
ザクロの味が,祖母の怪談話を思い出させた。
☆八百比丘尼が食べたのは,「人魚の肉だった」という話もある。さてはて・・・・?
冬の日に照らされた静かな静かなザクロ。
赤い実のように見えるものは,ザクロの種皮。
ぱっくりと口を開けたザクロの果実。赤い花が咲いたのは、夏(6月)。ザクロの種皮は生食,または果実酒作りに用いられる。
(2005/11/27)
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