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第55回
□ 都市化を教えるタンポポ
(理科研究発表会の聞き書き−2)
今年の理科研究発表は,パソコンとプロジェクターによるプレゼンテーション方式が6割だった。中学生がマイクロソフトのパワーポイントを使いこなしていた。
男子中学生が,タンポポの研究発表をした。
彼らの中学校区全域のタンポポの種類別の分布調査の報告である。
道路で囲まれた面を1ブロックとするとその中学校は,374ブロックに分割できるという。その全ての面に生える,全てのタンポポについて,種類を特定し,株数を数える。
声変わりのした男子がタンポポの花を追いかけている姿を想像して,楽しくなった。
もう20年以上も続く,彼らの中学校科学部の継続研究だという。
タンポポの黄色い花びら下部の緑色の部分(総苞弁)で,セイヨウタンポポとカントウタンポポとに分ける。白い花は,シロバナタンポポでこれも分ける。
セイヨウタンポポは,土の固い都市化した土地にもどんどん生える。
カントウタンポポが生える土地は,畑の土に近い都市化の進まない所だという。
そこで,セイヨウタンポポの量から,都市化を推しはかろうという研究を行ってきた。
20年という息の長い研究で発見した,「タンポポの総株数が年毎に変化」することの「不思議さ」を解明しようと少年たちは試みた。
植物の年毎の株数の増減の秘密を探っている。
タンポポの適正生育条件と合致した年に,たくさんの花をつけたり株数が増えたりするのではないかと推論し,その条件を探した。
結論は,雨・湿度がその要素で,気温はあまり関係ないというものだった。
この学校区の近くには,地方気象台が存在することが,いろいろな意味でラッキーだった。
20年の部活動の蓄積はすごい。
それにしても毎年,面を対象とする調査には脱帽。
カントウタンポポー在来種(大変少なくなっているタンポポ)
セイヨウタンポポー帰化植物
シロバナタンポポー白いタンポポは,めずらしいと思ったら,カントウタンポポの10倍くらいの数が存在するという。
プロジェクターによる発表。写真は上記の研究の発表者ではありません。
(2005/12/6)
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