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 ■ リンゴとビタミンC

 リンゴは不思議な果物です。リンゴに含まれているビタミンCは100g中に3mgで、食品の中ではさほど多いわけではありません。にもかかわらず、農研機構果樹研究所で行ったヒト介入研究の結果、血液中のビタミンCがリンゴを摂取すると34%も増加しました。

 被験者14人(平均45才)に1日1.5〜2個(360〜480g)のリンゴを3週間、毎日摂取してもらい、血液中のビタミンCを測定しました。また、リンゴ非摂取期間を前後各2週間もうけ、リンゴ摂取期間と比較しました。その結果、リンゴを摂取すると、血液中のビタミンCが摂取前より34%増え、統計的に有意に増加し、摂取を中止すると有意に減少しました。

 フランスで行われた動物実験では、モルモットにリンゴを与えると、血液中のビタミンCが2倍となり、肝臓や副腎でも増加し、リンゴに含まれているビタミンC含量よりも体内のビタミンCが大幅に増えたと報告されています。こうした実験結果を総合して考えると、リンゴにはビタミンCを効率よく体内に取り込むのを助ける成分が含まれているため、含有量から予測される以上に血液中のビタミンCが増えると考えられました。

 一方、国立がんセンターが行った5年間の調査によれば、サプリメントでビタミンCを1日50mg摂取したグループの血液中のビタミンCの増加量は13.0%で、500mg摂取したグループでも増加量は38.5%でした。従って、リンゴ摂取で血液中のビタミンCが34%増加したことを、サプリメントに直すと1日約500mgのビタミンCを摂取したことと同等になります。このことは、ヒトの健康に役立つ栄養素を摂る場合、サプリメントではなく食品から摂取する方が効率的であることも示しています。

 ビタミンCは、様々な生活習慣病予防に有効です。新潟県新発田市に住む約2千人を対象に20年間追跡調査した結果、血液中のビタミンC含量が高いグループは、低いグループと比較して脳卒中の発症リスクが55%低くなり、脳梗塞では49%も少ないことが分かりました。また、ガンに対するビタミンCの予防効果について米国の成人男性を追跡調査した結果では、血液中のビタミンC含量が低いグループは、高いグループと比べて、ガンによる死亡率が62%も高いと報告されています。そのほか、ビタミンCを多く摂取すると、壊血病予防、ストレス解消、色素の沈着防止、白内障予防などに有効であると報告されています。

 ビタミンCは水溶性なので体内に蓄積されないので毎日摂取する必要があります。従って、ビタミンCを含む食品とともにリンゴを毎日摂取すると生活習慣病を予防し、健康の維持増進に有効です。




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